鶴之湯

中国東北部、ロシアとの国境に近い辺境都市チチハルの郊外に、毎年多くの観光客が訪れる扎龍湿地という巨大な湿地帯がある。そのほとりに大規模温泉療養施設をつくった。

ここは大都市のように便利な場所ではないし、山あり谷ありという景色の変化もないし、温暖な優しい環境でもない。ここは極寒地で、冬にはマイナス40度にもなり、見渡す限り雪の白い地平線が広がる場所である。遠くから訪れた観光客は、初めは見たことのない壮大な景色に驚き感動するものの、移動中ずっとその景色に囲まれていると、次第に心が殺伐としてくる。そこで、そのお客を安心させるような力強さや包容力が必要と考えた。冬の真白い雪景色や、アシの黄緑色で覆われる夏でも、殺伐としたお客の心を包み込む、強い空間、強い建築をつくった。

場所中国チチハル市鉄峰区
主要用途温泉
延床面積11,357.03sqm
敷地面積169,140.53sqm
施主明道集団
設計期間2010年11月-2013年7月
状態竣工
サインデザイン氏デザイン
照明デザインぼんぼり
現地設計院黒竜江省林業建築設計院
写真廣松美佐江