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チチハル扎龍温泉ホテル

場所

中国チチハル市铁峰区

主要用途

ホテル(ホール、客室133室、会議室、多目的室、レストラン、プール、スポーツジム)

延床面積

19,729sqm  

施主

明道集団

設計期間

2011年-14年

状態

施工中

其他

照明デザイン:角館政英,サインデザイン:氏デザイン

黒龍江省チチハル市、扎龍温泉施設群計画の第三期にあたるホテルである。

施主からは、客室130室、200人収容の大会議室、結婚式を催せるホール、プールを含むスポーツジム、そして中華のレストランが機能として求められ、全体として中国観光局基準の五ツ星標準をクリアし、リゾートとしての快適性、安らぎ、広大な湿地を感じられる空間性をつくりながら、管理の効率化や運営コストの効率化を求められた。

■ゾーニング
私たちは全体の機能を「エントランスホールや会議室そして宴会場を含むホール棟」「133室の客室棟」「スポーツジム棟」そして「総合管理棟」の4つにボリュームを分割した。それは結婚式や会議などで訪れる非宿泊客と宿泊客を分離し、宿泊客ゾーンの中でも客室とスポーツジムを分離し、宿泊空間の静かさやプライバシーを確保するためである。
■五ツ星標準、
中国におけるホテルは施設のハードに関する評価と運営ソフトに関する評価を行い、中国観光局から1ツ星から五ツ星までの認定を受けることができる。五ツ星などハイグレード認定を受けた場合、観光に対するアピールが強くなるだけでなく、政府役所の重要コンベンションなどでも使用される可能性が高まる。
ハードとソフトの評価のうち、ハードに関する評価には客室総数やスイートルームの全客室に占める割合といったものだけでなく、「2種類以上のレストラン」や「娯楽付帯施設(カラオケなど)」といった付帯施設に関する評価が含まれる。しかし付帯施設の増加は運営コストの増加に直結するため、私たちは施主のホテル管理部門と共同で使用率を踏まえた検討を行い、五ツ星標準を満足しつつ、付帯施設の量や規模を最適化するよう心がけた。
■管理
このホテルにおける管理は大きく3つに分けられる。それは総合管理、ホテルにおいて接客や清掃を担当するサービス部門、そしてレストランスタッフである(このホテルではレストランは外部委託せず自社運営する)。
□総合管理はホールや客室棟などと分離して独立でつくり、総合管理オフィスや中央洗濯室、温泉濾過やボイラーなどの機械室、そして夜勤スタッフようの宿舎を配置し、ホテルの接客サービスに直接の関係がないサービス部門を集中させた。
□接客や清掃スタッフは総合管理棟に出社したのち、ホテルホールの横からホテル棟に入る。ここには、特に零下40度近くになる冬場にスタッフが制服の上にダウンコートなど着て歩いてくることを考慮して簡易更衣室を用意してあり、ここから各自の持ち場に向かう。そのうち、客室に対するサービス動線は総合管理棟にある洗濯室へのアクセスを考え、客室棟の北西角にストックルームと専用エレベータを配置している。
□レストラン厨房に対するサービス動線は、敷地外道路から専用の引込み道路を設けてあり、ホール棟レストランの直下地下1階に着くようにしている。そうすることで生ゴミの搬出入を来客と完全に分離し、同時に厨房からレストランへのサービスの効率化を実現している。

■空間
空間については、ホール棟は湿地に向けた軸線を強調するという扎龍温泉施設群の全体計画コンセプトに沿い、湿地に伸びるシリンダ状のボリュームを3つ並列させたものをホール棟とした。3つならぶシリンダのうち、中央のシリンダはエントランスホールやレストランなどの大空間を、左右のシリンダには会議室や宴会場、そしてレストランの個室やオフィスなどを配置した。中央のシリンダは中間部分を外部化して中庭とし、エントランスから入ると、スチールプレートで製作したシャープな軒先によって切り取られた東北特有の高く深い青空が来客を正面で出迎えているようにした。中庭に接した大きなガラスカーテンウォール際はカフェバーにしてあり、中庭の景色や空の移ろいを近くに見ながらくつろげるようにしている。
エントランスホールは、中庭の青空や、奥のレストランから湿地への軸線を強調するべく、空間を機能的に満足させながら左右対称になるようにした。それはたとえば、エントランスホールの両側にあるサービスカウンターは、一つはチェックインカウンターとして、もう一つはバゲージサービスカウンターとするなどである。
ホール棟から連結廊下を渡ると客室棟の中庭を通して、スポーツジム棟のサンルームが正面に見える。中庭の両側には4階建133室の客室を配置しており、温泉が主役になるような複数タイプのルームプランを用意した。それぞれ、客室に入ると正面に大きなお風呂があり、部屋に入るアプローチからお風呂を通して外の景色まで伸びる軸線を強調し、温泉を通したリゾートホテルとしての非日常性を強く演出している。